
ひさびさの「closetの引き出し」の更新です。
縁あって、イスラエル在住の作家さんと交流が生まれました。
イスラエルという国について、みなさんはどんなことを思い浮かべますか?
その位置や、宗教、歴史については、私たちも知る機会がありますが、
今現在のイスラエルという国の人々の 「生活文化」 については、情報はあまり多くありません。
多くの学者や研究者を輩出していて、優秀な人たち。あとは金融業、ダイヤモンド・・・
そのくらいの漠然としたイメージだけで、衣食住などの生活文化については、ほとんど知らなかったので
このたびの出会いは、大変興味深いものでした。
アーティストが送ってくれたのは、自身の作品が納められた、様々なお宅の写真です。
どうですか?
なんだかちょっと意外な感じがしますか?

イスラエルと聞くと、もっと古い石造りの建物があって、中東らしい幾何学模様のタイルや
カーペットといった伝統工芸品があって・・・というイメージだったのですが、
これは中東地域を、あまりにざっくり把握した、私の乏しい知識のせいだったようです。
長く迫害の歴史を経て現代のイスラエルが国家として独立したのは第2次大戦後の1948年です。
様々な地域をさまよいながら生き続けたユダヤの人々は、
ひとつの場所に定住して、その地に根を下ろした文化を積み重ねていくことができませんでした。
反対に、どこでも自らの知恵で生き延びていけるよう、学識と豊かな発想力を身につけたのだといいます。
ですから経済の基盤は製造業ではなく、金融やダイヤモンド取引などです。

ここに掲載している写真のインテリアも新しいものが多く、代々受け継いだようなアンティークや、伝統工芸品はあまり見受けられません。
欧米の住まいとも、そのあたりが異なっているように思います。
しかし、無駄なものは出しておかないで、すっきり片付けるあたりは、
日本人が「理想」として目指すお部屋のイメージと似ているのではないでしょうか。
それにしてもホテルと見まごう、素敵なお部屋の写真ばかり。
はたしてどのくらいの大金持ちのお宅かしらと思いきや、「中流の一般的な家庭です」とのお返事でびっくり!
ゆったりとした大きめのソファや6人から8人用の食卓は、イスラエルの「お招き」事情に深く関わっています。
ユダヤ教では金曜日の日没後は安息日となり、一切の労働が禁じられます。
そのため人々はみな自宅で家族や友人たちと過ごすのだそうです。
そこで語らうこと!が彼らの日常的な金曜日の過ごし方なのです。
大きなテレビがあまり置かれていないのも印象的でした。
平均テレビ視聴時間が世界一長い日本(なんと1日5時間!)では、
住まいは完全なプライベート空間としてリラックスだけを目的とする傾向が強いように思いますが、
とにかく集まって議論するのが好きなイスラエルの人々と比べると、
生活空間にも違いが現れてくるものですね。
取材・文 新井沙絵
作品はすべてエフラット・イラン
www.efratilan.co.il