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closetの引き出し -5段目- 

 はじめまして。
 closet新スタッフの荻野です。

 closetの引き出し、久々の更新となる今回は、私の自己紹介も兼ねて、石の質感についてのお話です。


 私は、先月、埼玉県に引っ越してきたのですが、その前は4年ほど栃木県に住んでいました。

 栃木…と聞いて皆様は何を思い浮かべるでしょうか??日光東照宮、あるいは宇都宮の餃子??


 実は、私が栃木県で気に入っていたのは、石造の建物です。栃木県の町並みを眺めていると、いろんなところに、石でできた蔵や倉庫が残っているのがわかります。
 宇都宮市北西部は大谷石という石材の産地で、江戸時代から昭和にかけて大規模な採掘が行われていました。栃木市は「蔵の町」として特に観光に力を入れていますが、栃木県内の他の市にも大谷石でできた建物は沢山残っています。また、大谷石は、1923年に完成したフランク・ロイド・ライト設計の帝国ホテルライト館の建材としても使用されています。

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(大谷石を使った建物の例。宇都宮市にある悠日カフェさん。ギャラリーも併設)

 私が栃木の石造の建物を見るとき、いつも思い出していたのは、実は、学生時代にヨーロッパで見た中世の大聖堂の壁です。12~13世紀のいわゆるゴシックの時代には、イギリスやフランスなどヨーロッパ各地に、石の大聖堂が建立されました。
 この時代の美術を専攻し、大聖堂が大好きだった私。栃木で普通の民家の庭に建つ石蔵の壁を見ては、ゴシックの大聖堂を連想し、密かに心をときめかせていたのです(笑)。
 
 このようなゴシックの大聖堂に使用された石材の種類は、各地の有する採石場によって様々ですが、イル=ド=フランス周辺のゴシックの大聖堂では主に白い石灰岩質の壁を見ることができます。凝灰岩である大谷石と石灰岩は、実は、同じたい積岩という種類の石の一種です。
 私は、これらの石が使われている建築物やインテリアの質感を、石ではあるけれど、どことなく温かみがあるように感じています。それは、もしかしたら、たい積岩が、火山灰や生物の死骸などが積り固まってできたものであり、人間とも共通した生命や時の流れを内包しているからなのかもしれない、と思うのです。


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(左:パリ、ノートルダム大聖堂 右:ディジョン、ノートルダム聖堂)

                                                         (荻野)

('14 07/07)