ご納品後記:建築の堅牢さとアートのバランス/松橋孝作品

最近の分譲住宅、とくに東京都心、3Aと呼ばれるエリア(青山・赤坂・麻布)のハイエンド向けのマンションなどでは、
床が大理石や無垢材であったり、壁がタイル張りであったりと建材も本物志向で、
そこにまた重厚なイタリアモダンの家具が入ったりしますから、アートにも見劣りしない力強さが必要になってきます。
これは貸しビルの一室で展示をしているだけの作家にはわからない均衡だと、
スペインの古城などで展示経験のある作家から聞いたことがあります。
とにかく内装の重厚な空間においては、薄い既成のキャンバスにドローイングしたようなタイプでは、作品だけが軽くて、
工作のように見えて浮いてしまうのです(額に入れて、額の重厚さでカバーするという方法もあります)。
弊社ではご提案の時、そうした建物の持つ重厚さも大切に考えていますが、
どこにご提案しても安心な作家の一人が松橋孝さんです。
下の写真はいずれもマンションのエントランスです。

 

マンションのエントランスに飾られた松橋孝のモダンなアート

 

マンションのエントランスに飾られた松橋孝のモダンなアート

 

マンションのエントランスに飾られた松橋孝のモダンなアート

 

高い折上げの天井、床や壁にも石やタイルが使われているなかに、どっしりと納まって見えるのは、
作品に使われている素材(顔料)の問題もありますが、力強い構図とコントラスト、
仕上げの丁寧さにあるのではないかと思います。
またこうした公共の空間では、おそらく数十年はこのままずっと飾られ続けることになるでしょう。
そのためにも、作品が日照や湿度・気温などの環境要因で劣化するようなことがないように、
画材の耐久性についても熟慮されている作品を選ぶことが大切だと思います。

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